訪問介護施設で流れる涙、そして私たち職員の胸の内

 訪問介護施設で働く中で、入居者の方がふと涙を流される姿を目にすることがあります。そ

のたびに、私たちは「どうされたんだろう」「何か辛いことがあったのかな」と胸を締め付

けられますよね。でも、実は私たち職員だって、日々の業務の中で、ふとした瞬間に泣きた

くなるような気持ちになることがあるんです。今日は、そんな私たちの正直な気持ちと、涙

の裏にある様々な感情について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

涙は、心の声

入居者の方々が涙を流される理由は、本当に人それぞれです。

 * 寂しさや不安を感じている時: 住み慣れたご自宅を離れ、新しい環境での生活は、私たち

には想像できないほどの不安を伴うことがあります。ご家族と離れて寂しさを感じたり、こ

れからの生活に漠然とした不安を抱えたり。特に、今は面会が難しい状況も多く、孤独感が

募ってしまう方もいらっしゃいます。

 * 体の痛みや不調に耐えている時: 年齢を重ねると、体のあちこちに痛みや不調が出てくる

のは自然なことです。思うように体が動かせないもどかしさや、日々の痛みにじっと耐える

辛さが、知らず知らずのうちに涙となって溢れ出ることもあります。

 * 昔の思い出がよみがえった時: ふとした瞬間に、楽しかった頃や、時には辛かった頃の思

い出が鮮やかに蘇ることがあります。昔の歌を耳にしたり、懐かしい写真を見たりした時

に、感傷的になり、涙がこぼれてしまう方も少なくありません。

 * 感謝や感動の気持ちでいっぱいになった時: 私たちのちょっとした心遣いや、他の入居者

の方との温かい交流に触れて、感動の涙を流される方もいらっしゃいます。「ありがとう」

の言葉とともに流される涙は、私たち職員にとっても本当に嬉しい、忘れられない瞬間で

す。

 * 認知症による感情の変化がある時: 認知症を患われている方の中には、感情のコントロー

ルが難しくなり、ご自身の意思とは関係なく涙が流れてしまうこともあります。一見、理由

がわからないように見えても、その裏にはその方なりの理由や感情が隠されていることを、

私たちはいつも心に留めています。

私たち職員だって、一人の人間だから

「プロなんだから、感情的になっちゃダメだ」そう思われている方もいらっしゃるかもしれ

ませんね。でも、私たち訪問介護施設の職員も、皆さんと何も変わらない、一人の人間で

す。日々の業務は、体力的にも精神的にも、正直大きな負担がかかることもあります。

 * 命を預かる重み: 入居者の方の命をお預かりしているという責任感は、常に私たちの心の

中にあります。急な体調の変化や、予期せぬ事態に直面した時の緊張感は、想像以上かもし

れません。

 * 「もっと」という気持ちとの葛藤: 「もっとこうして差し上げたい」「もっと寄り添って

あげたい」という理想と、限られた時間や人手の中でできることの間に、もどかしさを感じ

ることも正直あります。

 * 様々な人間関係の悩み: 入居者の方との関係、同僚との関係、そしてご家族との関係。多

くの人間関係の中で、ストレスを感じることももちろんあります。

 * プライベートとの両立: 私たち職員も、施設を離れればそれぞれの家庭があり、プライベ

ートな生活があります。心身ともに疲れている時に、さらに負担が重なってしまうこともあ

ります。

こういった様々な要因が重なって、私たち職員だって、皆さんが気づかないところで、ふと

した瞬間に涙がこみ上げてくることがあるんです。

涙に寄り添い、共に歩む場所へ

入居者の方々の涙は、私たちに多くのことを教えてくれます。それは、言葉にならない心の

声であり、私たちがもっと深く寄り添うべき大切なサインだと感じています。そして、私た

ち職員自身の涙もまた、私たちが人間であり、感情を持つ存在であることの証です。

私たちは、入居者の方々の涙に共感し、それぞれの感情にそっと寄り添うことを一番大切に

しています。そして同時に、職員同士も互いの大変さを理解し、支え合える温かい環境を作

っていくことが、より質の高いケアに繋がると強く信じています。

この施設が、入居者の方々が安心してご自身の感情を表現でき、そして私たち職員もまた、

一人の人間として、安心して働くことができる。そんな温かく、支え合う場所であり続けた

いと心から願っています。

皆さんは、涙を流している方を見た時、どんな風に寄り添ってあげたいと思いますか?




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